ドイツの冬はさみしい

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以前散歩した時に出会ったねこちゃん。世界ネコ歩きかな?

 

授業や試験に追われてブログを始めたことすら忘れていました。

この二ヶ月の間に起こったことを思い返してみたのですが、もはや忙殺されていた記憶しか残っておらず詳細に思い出すのが難しい。ということで、常に携帯しているデジタルカメラの写真をもとに、写真を載せたり載せなかったりしながら振り返りたいと思います。

今回は前篇。

 

-ドイツ語コース修了

まずはドイツ語コースというものについて。

ドイツにおける留学生向けのドイツ語コースでメジャーなのは"Studienkolleg"という大学入学準備過程、つまりドイツの大学で学ぶために必要なレベルのドイツ語を身に付けるコースです。わたしの大学に来ている日本人留学生は「わたし以外」全員このコースでドイツ語を学んでいます。

なぜわたしがStudienkollegを受講しなかったのかというと、このStudienkolleg、みっちりドイツ語を勉強出来る素晴らしいコースなのですが、その分毎日ひたすらドイツ語に拘束されてしまうのです。9時から13時まで、あるいは11時から15時までなど、毎日まとまった時間をドイツ語の勉強のみに費やさなければなりません。そうなると必然的に学部の授業をとる時間が失われてしまいます。

また留学生は正規入学ではありませんから、少なくともわたしの大学の場合はDSH2/C1程度のドイツ語能力がない場合でも意欲さえあれば学部の授業を受講し単位を取得することが可能です。

というわけで、「半年間の留学を語学のためだけの留学にするのは勿体無いな~学部の授業も取りたいし」という思いからわたしはStudienkollegには参加しませんでした。

 

そうは言ってもドイツ語を専攻していたわけでもなく、所詮第二外国語のレベル。チケットを買う際に「ウムラウトの発音が下手すぎて何を言ってるのか分からない!」と映画館のスタッフに怒鳴られるドイツ語に何らかの対策を講じなければ授業はおろか日常生活もままなりません。

そこでわたしが見つけ受講していたのがAllgemeiner Deutschkursというドイツ語コースでした。これは学部の授業も受講しながらドイツ語を学べるように設けられたもので、週に2回、18時~19時半という時間帯に開講されています。このドイツ語コースはStudienkollegのように文法の基礎からこつこつと、というよりはTestDaFやDSHなどの試験対策の意味合いが強く、話すこと・聞くことに重点が置かれます。

授業ではひたすら喋る、喋る、喋る。スペイン・イタリア・バングラデシュ・インド・エルサルバドルなど様々な国から来た学生と一緒にドイツ語を学ぶ時間はとても刺激的なものでした。みんな必ず授業に遅れて来るけどね!年明けの一発目の授業がインドの男の子とわたしの二人きりだったのもいい思い出です。

 

そんなドイツ語コースも一月で終わり、試験も無事にパスして単位をいただきました。文法の基礎は自習できますし、読解は他の授業の予習をする中で鍛えられるので、それらに加えてこのドイツ語コースで話す・聞くという能力を補ったことで、バランス良くドイツ語の学習を進められたと感じています。

 

-フランス語コース修了

専門が独仏比較文学なので、フランス語も日本で一年ほど勉強していました。また留学している街が限りなくフランスに近く(気軽にフランスへ行けるよう、故意にそのような街を留学先として選択したのですが)、至る所でフランス語が話されているのを耳にします。

研究においても生活においてもフランス語は大切、ということでフランス語コースも受講しました。ちなみにわたしの大学の語学コースは幅広く、フランス語以外にもスペイン語・イタリア語・ロシア語・ルクセンブルク語などがあり、また日本語コースも開講されています。これらの語学コースは学生だけでなく社会人の方も受講しているため、幅広い年齢層の方と交流することが出来ました。

ここはドイツなので、当たり前ですが先生がフランス語を教えるために使用する言語はドイツ語です。初めの頃はドイツ語すら覚束ない状態であったため、「未知の言語で未知の言語を解説される」という奇妙なねじれが生じていました。いつの間にかそんなねじれも解消され、試験(筆記試験+口頭試験)の結果なんとか単位をいただきました。

 

-所属するchorのコンサート

留学中は大学のchor(合唱団)に所属していました。これは元々Musikwissenschaft(音楽学)を専攻する学生のためのものなのですが、わたしのような他専攻の学生や地域の方々も簡単なオーディションを経て入団することができます。

小学~中学生の時に少年少女合唱団に所属していたこともあり歌うのは好きなので、週に一度の練習はわたしにとってカタルシスの意味合いをもっていました。「歌はいいね。」「歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。」とはよく言ったものです。ところでシンエヴァはいつ……

そんなこんなで毎週カヲルくんの名言よろしくわたしの心を潤していた歌の練習は、二月のはじめに行われた教会でのコンサートに繋がります。

平日20時という遅い時間からの催しでしたが、教会にはたくさんの人が歌を聞きにきてくださり、そのありがたさに思わず始まり早々うるっとしてしまいました。また教会の響きがあまりに美しく、まさに歌いながら魂が浄化される心地がしました。

歌は聖歌からポップスまで様々で、ドイツ語もあれば英語もあり、ラテン語や架空言語のものもありました。

最後はお客様も含め全員でDa pacem domineを歌いながらお見送り。教会の外に出ても止まないラテン語の歌はまるで終わらない夢のようにきらきらと、不思議な響きをもってわたしの記憶に残っています。

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お客様が帰られたあとの教会。留学中、心のよりどころとして時々足を運んでいました。

 

以上、備忘録として一月と二月の出来事を書き起こしました。近いうちに続きも書きます、きっと。

留学もあと一週間で終わりです。あまり実感は湧きませんが、携帯電話に入れているカウントダウンアプリがきっちりと時を刻んでいます。

 

 

 

休息と怠惰のあいだ

 

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 寮の窓からの風景。森。

 

また土日を無駄に過ごしてしまった。ついつい金曜の夜と土曜の夜は夜更かしをしてしまい、次の日の昼に起きる…という週末はよろしくないですね。もう何回もないドイツの週末なので、次からは早寝早起きを心がけます。

 

土曜日は授業と試験で使う本を探しに町へ出かけたのですが、どこへ行っても置いていないのです。比較的大きめの本屋さんから、小さな本屋さんまでいろいろあたってみたのですが見つからず。うーん困った。

加えてDie Mausのグッズも探しているのですがそれも見つからず。ケルンに専門店のようなものがあるようですが、ちょっと遠いなあ。大学がひと段落したら行ってみようと思います。ああいう気の抜けた表情をしたキャラクターって癒されるので、公式ホームページのMausspieleでいつも遊んでいます。

夜はDiana DamrauがソプラノということでMetropolitan OperaのLes Pêcheurs de Perlesをライブビューイングで観ようと思ったのですが、チケットが手に入りませんでした。というのも、何故か映画館のKasseがひとつしか開いていなかったために来場者が長蛇の列をなしていて、並んでいたら上演時間を過ぎていたのです。 やはりどうしても観たいものに関しては事前にチケットを購入しておくべきですね。次回のTurandotにこの学びを生かしたいと思います。でもKasseは3つくらい開けた方が効率いいと思うよ!

 

そして朝5時に寝て日曜日は昼の13時に起きるという体たらく。笑えない堕落っぷり。

わたしの住んでいる寮では、毎週日曜日にケーキと紅茶/コーヒーが振る舞われる小さなお茶会のようなものがあるのです。今日こそは行こうと思ってたのに、結局行かなかったわたしの馬鹿。今調べてみたらドイツで過ごす土日はあと7回のみでした。ぐだぐだしていられない。来週こそはお茶会に行くぞ。

 

しかしわたしはドイツでの日曜日の過ごし方が分からないのです。店も開いてないから外出はできないし、散歩するにも寒すぎる。やはり日曜日は部屋でゆったり過ごすのがドイツ流なのでしょうか。

たしかに日本にいたときは土日関係なく勉強とアルバイトに追われていたので、こういう何もしない時間というのも貴重なのかもしれません。怠惰な日曜日の〆に、これからスープでも作ってみようかな。

Schwere Stunde

うっかり大学をさぼってしまった戒めに、ブログを始めました。

2015年10月から2016年3月までの半年間、某プログラムの派遣留学生として給付奨学金をいただきながらドイツで留学生活を送っているおたくです。

 

専攻はGermanistik(ドイツ学)、中でもドイツ文学について学んでいます。日本の大学では独仏比較文学を研究しているので、ちょこちょこフランス語やフランス文学の授業も受けていたり…フランス語は美しいけれど難しい…

あとは出版というお仕事に関心があるので、ドイツのちいさな出版社で週に一回ほどインターンをさせていただいております。憧れの出版社!しあわせ!でも現状あまりに役立たずヤパーナリンなので、帰国までにもうちょい有用な人間になりたいです。

文学のほかにオペラや演劇、音楽なども好きなので、大学生という特権を利用して劇場に通いつめる毎日。最近だとBrecht"Die Dreigroschenoper"(ブレヒト『三文オペラ』)が個人的にヒットしました。興奮してKurt WeillのCD買っちゃった。

 

なんやかんや書きましたが、実際はただのおたくです。文学もアイドルもアニメも声優も好きなので、やはりドイツにいる間はそこらへんの事情に疎くなってしまうのが惜しいところです。ちなみに帰国後の4月に開催される清竜人25のコンサートの席は既に確保してあるので、今からわくわくです。推しは第七夫人です。

 

そんなこんなで、ドイツのことやそうでないこと、いろいろと書いていこうと思いますので、たまにちらっと読んでくださると嬉しいです。

 

(Thomas Mann: Schwere Stunde)